新型コロナウイルス 感染動向、対策、注意点

救急医療の現場から

今日は9月9日、「救急の日」です。これにちなんで、昨今の救急医療の現状をお伝えします。皆さんにとっての「救急」とは何でしょうか。医療や社会全体からみると、「救急」は消防や警察、あるいは自衛隊のような緊急時に対応をする社会資源、生活上の安全保障のひとつです。ところが最近は、その敷居がとても下がってしまっているようです。「不要不急の119番は控えて」という広報が多くなっていますが、それは、「救急」が気軽に利用できるサービスになってしまっているからです。ことに、新型コロナ感染症の蔓延から、発熱や感冒様の症状があれば病院受診するのが当たり前になってしまい、そして、どこに行ったらよいかわからないということが拍車をかけたようです。では、どのような時に救急を利用したらよいのか、一概には言えませんが、自力歩行できる場合や状態が落ち着いている場合、あるいは慢性的な症状の場合には、まずかかりつけ医の受診をお勧めします。ただし、胸の痛みや手足のマヒのような心臓病や脳卒中では迅速な受診が必要ですから、なかなか判断が難しいこともあるかもしれません。救急受診した方が良いかどうかわからない場合には#7119で相談できるので利用してみてください。

突発する健康危機には救急を利用することになるかもしれません。とはいえ、そのようにならないように普段からの健康維持も大切です。日々の生活を楽しみながら健康に留意してください。

令和5年重陽の日に 鈴木 昌

8月中旬の感染動向、対策、注意点

風が過ぎ去り秋を思わせるさわやかな風が、一時暑さを忘れさせてくれるようになりましたが、ここ数週間新型コロナウイルス検査で陽性になる方が、しばらくぶりに増加してきています。お盆休みで旅行する人が多かったので、これからさらに増加するのではと懸念されます。最近では検査で陽性になった方には状況に応じて、コロナウイルスの増殖を抑制するような薬を処方できるようにもなりました。 日頃から体調に注意を払い、咳や咽頭痛など感染が考えられる場合には適切なマスクの着用、換気対策、手洗いなどの感染対策を行ってください。検査をご希望の場合は前もって電話でご連絡くださるようお願い致します。

一方、過去10年で最も大きな流行となったヘルパンギーナは減少傾向で、長野県では流行警報レベルを下回りました。しかしコロナの影響でさまざまなウイルスに対する免疫が低下していますので、引き続き注意していきましょう。ヘルパンギーナの原因ウイルスはエンテロウイルスやコクサッキーウイルスなど数種類あるため、ワクチンや迅速検査はなく、また特別な治療薬もありません。数日で自然に治ることがほとんどですが、口内の水泡が破れて痛み、食事が十分にできないと脱水になるので注意が必要です。またまれに髄膜炎や心筋炎を合併することもあります。このウイルスの感染予防にはアルコール消毒は不十分で、石けん、流水でよく手洗いすることが大切です。

具合が悪い時、どのタイミングで医療機関に受診したらよいかは、迷うことが多いと思います。一般に、乳児は別として、発熱しても元気でご飯をいつも通り食べていて、排尿も通常どおりなら、慌てて受診しなくてもよいことも多いです。インフルエンザやコロナは迅速診断ができますが、あまり早すぎてもウイルス量が少なくて偽陰性になってしまうことがあります。

大切なのはお子さんの様子で、家族だけにしかわからない兆候もあります。子供と目が合わないことに家族が気付き、その子が髄膜炎だったこともあります。そこまでいかなくても、水分が取れなくて半日以上おしっこが出なくてぐったり、呼吸が苦しそうなどに気づいたらすぐに受診をしましょう。

最後に、夏休みに海外旅行した方は、帰国後2週間程度は体調に気をつけてください。感染症には潜伏期間が長いものもあり、帰国時 症状がなくても後で発症してくるものもあるからです。

三枝 紀子